『しろがねの葉』千早茜(著)銀山に生きるということ

日本文学

直木三十五賞の候補5作品の中からこちらを一番読みたいと思い、2022年12月書店へ行きましたが品切れで出版社にも在庫無しで購入できず、図書館へ予約してやっと読めました。手元に届くまでに、直木賞受賞されたので増販されたのでしょうか?

『しろがねの葉』
著者: 千早茜 /出版社:新潮社

第168回直木三十五賞受賞

◎作品紹介(簡単なあらすじ)

夜目が利く子どもであったウメ。暗闇を怖がらず、暗闇を好んでいた。
戦国末期、光る山・石見銀山へ逃れようとした家族とはぐれ、山師・喜兵衛に拾われたウメ。
喜兵衛の手子として育てられ、男だけの銀堀にまざり間歩の暗闇で働き出す。
しかし女であるということだけで、好きなようには生きていけず・・・
ウメの成長とともにつらい現実に向き合い、それでも生きていく。

生きるために銀を掘る男たち、病に倒れる男たち、それを見守る女たち。

そんな運命の中、生きていくことの強さを見せられる___

◎著者の千早茜さんについて

1979年北海道生まれ。
小学生時代にアフリカに住んでいたことがあって、日本から届く小説を楽しみに待っていて、届くと一気に読んでいたというエピソードが「ほんのひきだし」というサイトに載っていました。

2008年『魚神』で、第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作品で第37回泉鏡花文学賞を受賞。 
2013年『あとかた』で、第20回島清恋愛文学賞を受賞。 
2021年『透明な夜の香り』で、第6回渡辺淳一文学賞を受賞。

◎感想

ウメの生きた時代、生きるということがいかに難しいことであったのかを思い知らされました。

戦国時代の末期というと、まだまだ戦も多く、安定した暮らしなど夢の話。銀山の銀掘たちは戦には行かなくても掘り続けて病にかかり短命で、戦に行く男たちも命の保証などなく、女は見守り待ち続ける。過酷です。

男も女も関係なく、働いて生きようとする強い思いがあるのにうまくいかず、それでもあきらめないウメの姿に胸が痛くなる思いでした。 

大人へと成長し、家族への深い愛情を育み、悲しい別れを何度も経験し、それでも生き続けていくウメのような人々が、この時代にはたくさんいたのだろうと思います。

恥ずかしながら読み終わってから知ったのですが、石見銀山は実在した場所で、現在は観光地になっているそうです。
ちょうど数日前にそこでの事故のニュースが報じられていました。悲しい出来事です。

暗闇の中にいる息苦しさを感じながら読み終えました。
とてもいい読書でした。

◎心に残った言葉

女は男の庇護の許にしか無事でいられないのか。笑いがもれた。莫迦莫迦しい、好きになど生きられないではないか。

『しろがねの葉』血の道より

◎まとめ

千早茜さん初めて読みました。
さすが直木賞受賞作品、読後感は重くずっしりときます。素晴らしい本を読めて感謝しています。
時代小説は初めて書かれたとのことでしたが、また書いていただきたいです。

家の積読本のなかに千早さんの作品が一冊あるので、早速読みたいと思っています。

時代小説の好きな方にも、時代小説はあまり読まないという方にもおすすめの一冊です。

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