『とんこつQ&A』今村夏子(著)いつもの日常が少しづつ壊れていく

日本文学

◎作品紹介(簡単なあらすじ)

『とんこつQ&A』

著者: 今村夏子 /出版社:講談社

カバー写真:濵﨑慎治 /カバーデザイン:須田杏菜

よくある日常の物語と思って読んでいるとだんだん違和感を感じてくる短編集。
人間の深いところまで見えてしまう。
「とんこつQ&A」「嘘の道」「良夫婦」「冷たい大根の煮物」の4編。

第39回織田作之助賞候補

著者の今村夏子さんについては、こちらのページにまとめました。⇩

装画は単行本と文庫本でだいぶ雰囲気が変わっています。
上で紹介している画像は文庫本です。
こちらのカバー写真の撮影はなんと210分かかったそうです!(講談社文庫のXより)
餃子とさくらんぼの不思議な組み合わせが、なぜか素敵な写真になっています。

◎感想

表題作の「とんこつQ&A」では、声が出ない苦しさがとても強く伝わってきました。
それをどうにかしようと工夫する姿は素晴らしいのに、だんだんと何か違うのではと感じてきました。
真実なのか演技なのか、すべて真実になってしまうのか、境界線があいまいになっていくのは恐怖でした。
「おかみさん」は誰?

「良夫婦」のタイトルについている「良」はなんだろうと最後に思いました。
お互いが良ければいいのか、自分だけが大事なのか、人の本心なんて見えなくてよかったと思いました。
他人と関わることって怖いです。

いつもの日常の話だと思わせて、じわじわと怖くなってくる物語ばかりでしたが、こういう読み心地は好みです。
とにかく人って怖いと思わずにはいられないです。
今村夏子さんの作品はいつも一気に読んでしまって、怖いもの見たさなのかまた読み返してしまいます。
好きな作家さんなので、ほかの作品もたぶん全て読んでいるのですが、どの作品も感想を言葉にするのが難しいです。
これからがんばって少しずつ紹介していきたいと思います。

◎印象に残った言葉

思い知ったにもかかわらず、その後の友加里は、時々、そのことを忘れた。

『とんこつQ&A』「良夫婦」より

この文章を読んだとき怖いと思ったけれど、人の心のなんてそんなものかもしれないです…

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