『斎王の葬列』内田康夫(著)謎の斎王伝説【浅見光彦シリーズ】

日本文学

以前から好きな作家さん。作品数が多すぎてどれを読んだか覚えていないので、少しずつ読み返しながら、まとめていきたいと思っています。
残念ながら新しい作品はもう読めませんが、たくさんの素晴らしい作品を残していただきました。

『斎王の葬列』
著者:内田康夫 /出版社:KADOKAWA /1993年刊行

内田康夫さん著書84作品目、主な舞台は滋賀県甲賀群土山町(市町村合併により現在は「甲賀市土山町」として地名となっています)です。

◎作品紹介

奈良時代にできた伊勢神宮へ仕える斎王という制度。その謎につつまれた斎王伝説を映画にするため、ロケ隊が滋賀県甲賀群土山町(市町村合併により現在は「甲賀市土山町」として地名となっています)へやってきます。
そのロケ現場付近のダムから、男性の他殺水死体が発見され、ロケ隊のメンバーは容疑者になってしまいます。
困った監督の白井は、高校時代の友人浅見光彦に捜査を依頼します。

恐ろしい怨念があるという御古址の森、垂水頓宮には謎が多く伝説や言い伝えが残っています。浅見はその場所で起きた34年前の事件にまでさかのぼり調査を始めます。
そんな中、第2の殺人事件も発生してしまいます…

◎著者の内田康夫さんについて

1934年東京都生まれ
コピーライター、テレビCM制作会社経営を経験。
1980 年に『死者の木霊』を自費出版しデビュー。
著作数は166 冊。
そのうち浅見光彦が登場する作品は115冊。
代表作の浅見光彦シリーズ、岡部警部シリーズ、竹村岩男(信濃のコロンボ)シリーズは多数テレビドラマ化されています。
2018年3月13日 死去。

◎感想

事件の被害者である長屋明正が所有していた「ヒトカタシロ」。不気味な描写で、呪いの人形のようなものを想像しました。それを隠し持っているのも不気味です。

日本は中国の影響を受けて、藤原宮・平城宮の時代から「まじなひ」にドップリ漬かったらしい。そのまじなひの用具の一つに人形代がある。

『斎王の葬列』より

文中にある「まじなひ」とは何なのでしょうか。
天皇が斎王を選ぶ方法は「占い」らしいです。
同じでしょうか。

この付近はどこを掘っても斎宮にまつわる史跡や遺物が出てくると言われるほどの考古学上の宝庫なのだが、じつはそれが確認されたのは、ほんの二十年あまり前のことでしかないという。

『斎王の葬列』より

事件に関してよりも斎王について気になってしまい、いろいろ調べながらの読書になってしまいました。
あまり記録が残っていないところも興味がわきます。

作品の中では斎王制度についてもかなり詳しく解説されていて、斎王は原則として天皇家の皇女から選ばれ、すぐに自邸の中で隔離された生活を送ります。そこから約3年間のきびしい慎みの毎日が続くとのこと。
想像ですが、とてもつらい毎日のように感じます。その後、伊勢神宮へ向けて5泊6日の旅へ出るそうです。

事件解決に向けての浅見の旅費は、だいたいが「旅と歴史」の原稿料頼みです。
そのためこのシリーズでは、日本各地の観光地や歴史など知ることができるのも楽しみの一つになっています。

憎悪や殺意の原因が錯覚である可能性だってあり得る━━━━と思った。

『斎王の葬列』より

難事件でも決してあきらめず捜査を続ける浅見光彦。人間の内面は外見や言葉では全くわかりません。関係ないと思っていた事柄や人物にふと目を向けたとき、突然解決まで一気に走り抜ける姿はさすがです。
ただ、警察などに頼らず一人で突っ走る行動は、いつもながらちょっと危険なのでハラハラさせられます。

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◎まとめ

ドラマの【浅見光彦シリーズ】が好きな方は、ぜひ原作も読んでみてほしいです。
私はドラマ版を実はあまり見たことがないのですが、ドラマでは光彦役は何年かごとに変わっていますね。永遠の33歳なので。

今回はamazonのKindle Unlimitedで読みました。(2022.9.29現在)

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