『永遠についての証明』岩井圭也(著)証明することの難しさ

日本文学

岩井圭也さんの書店で1万円分本を買うという企画が好きで、選ぶ本のジャンルの幅が広く、迷いながらの書店探索に共感しながら、ネット記事で楽しませていただいています。
が、実は作品は読んだことがなく、こちらのデビュー作を読みたいと思っていました。

永遠についての証明

著者: 岩井圭也 /出版社:KADOKAWA

第9回野性時代フロンティア文学賞受賞

◎作品紹介(簡単なあらすじ)

圧倒的に数学の力を持つ瞭司は、今まで自分の数字への思いに共感できる人に出会えず、孤独に生きてきました。大学の数学科に入学した瞭司は、熊沢、佐那と出会い、初めてありのままの自分でいられることに幸せを感じていました。しかし才能がありすぎることで、だんだんとまわりの人々との関係がおかしくなってしまいます。

◎著者の岩井圭也さんについて

1987年大阪府出身。
2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞受賞しデビュー。
2024年『われは熊楠』で 第171回直木賞候補になっています。

◎感想

グイグイと引っ張られるように読み進めました。
初めて大学教授の小沼に会った時の瞭司の思いに、誰にも理解されず、孤独に数学と向き合ってきた日々の苦しさが伝わってきました。

瞭司は自然にふるまうことができた。ありのままの自分でいても疎まれず、拒絶されない。日頃無意識に抑えつけている感覚を、包み隠さず差し出すことができた。

『永遠についての証明』

正解がわかっていても、それを他人に理解してもらうことはこんなにも過酷で難しいことなのですね。
瞭司の思いが純粋で痛々しくて、話が進むにつれ読むのがつらくなるほどでした。
瞭司の目の前には何が見えていたのでしょうか?私たちにも見ることができるでしょうか?

瞭司がいなくなり、ずっと心に責任を感じて来た熊沢と佐那の思いもまた、とても苦しく重いものです。
後悔はしてもしても無くならないでしょう。
「何かできたのでは?」でも「何もできることはなかった」どちらが正しいかは誰にもわかりません。

違う。死んだことと、いなくなったことは別だ。

『永遠についての証明』

この熊沢の心の言葉がすとんと心に入ってきました。
人が亡くなることはいなくなることではない、本当にその通りで、今は会えないけれどどこかにいるとしか思えません。

岩井圭也さん初めて読みましたが、とてもよかったので他の作品も読みたいです。

◎まとめ

自分の好きなものをあきらめたくない方、理系小説が読みたい文系の方におすすめです。
過去作品も、直木賞候補になっている『われは熊楠』も読んでみたいです。

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