夏川草介さんの作品はずっと読んでみたいと思っていました。医療系小説です。
第7回本屋大賞(2010年)第2位
2011年と2014年に櫻井翔さん主演で映画化、2021年に福士蒼汰さん主演でテレビドラマ化されています。
◎作品紹介
主人公の栗原一止(いちと)は本庄病院に勤務する内科医。24時間365日対応の病院で、常に医師不足であり、睡眠も満足に取れない中、毎日必死に働いています。
そんな一止に母校の大学病院から誘いがあります。大学病院へ行けば、最新医療を学ぶことができ、休みも増えます。視野も広がるでしょう。
しかし一止は、自分はどんな医療がしたいのか、何を望んでいるのか、大学病院へ行くべきなのか答えが出ずに悩みます。毎日医師として働きながらも考え続けます。
家族や友人、勤務先での同僚や仲間、そして患者さんと接しながら、一止は成長し、よく考えた末に答えを出します。
◎著者の夏川草介さんについて
1978年大阪府生まれ。
医師として勤務しながら、小説家として執筆活動をされています。
2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。
代表作に『神様のカルテ』シリーズ、『本を守ろうとする猫の話』『臨床の砦』などがあります。
最新作『レッドゾーン』が2022年8月に発売されています。
⇩こちらに夏川草介さんの紹介ページを作成しました。
◎感想

現役のお医者さんが書いている小説は、きれいごとだけではなく、フィクションでありながら現実的な部分も見ることができるので、とても興味深いです。
主人公の一止の古風な話し方に最初は慣れなかったのですが、慣れてくると優しさを感じるのが不思議です。夏目漱石の小説の影響だとのことなので、こちらも読まねばと思っています。(『草枕』を暗記するほどに愛読)
「良い医者」にはなりたい。だが何をもって「良い医者」とするのか。
第1章『満天の星』より
私はただ黙って見守る。ほかに何ができるであろう。気の利いた言葉のひとつも出てきはしない。黙したまま、そばに座ってうなずいているのが関の山である。
第2章『門出の桜』より
こんな風に悩んでいる様子にも優しさがにじみ出ています。自分も周りの人の事を考えられる心を持ちたいと思います。
きっと患者さんも気の利いたたくさんの言葉より、見守っていてくれることがうれしいのではないでしょうか。見守るというのも難しいことです。
笑う者あらば笑うがいい。不器用な我々は、こうやってわずかずつでも前進していくのである
第2章『門出の桜』より
私も少しずつ少しずつ、行ったり来たり、そんなくりかえしの毎日ですが、前進しているでしょうか。前進しているといいのですが。
一止の勤務する病院は救急病院でもあり、終末医療も行っていて、さまざまな患者さんがいます。そんな中であわただしい毎日を過ごしていながら、一止と奥様のハルの二人から出ている空気がやわらかく、読んでいるこちらが癒されていくのが不思議です。
◎まとめ
医療系の物語が好きな方におすすめです。
優しい気持ちになれる1冊です。
こちらはシリーズ化されているので続編も読んでみたいと思います。
映画やドラマを見たことあるかたも、ぜひこちらの原作も読んでみてください。
今回はKindle Unlimitedで読みました。(2022.10.2現在)



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