『終点のあの子』柚木麻子(著)思春期の純粋さと残酷さ

日本文学

ここのところ続けて読んでいる柚木麻子さんのデビュー作です。短編集が好きなので楽しみです。

『終点のあの子』
著者: 柚木麻子 /出版社:文藝春秋

オール讀物新人賞を受賞した『フォーゲットミー、ノットブルー』が収録されています。

◎作品紹介

『フォーゲットミー、ノットブルー』『甘夏』『ふたりでいるのに無言で読書』『オイスターベイビー』の4編を収録した連作短編集。

柚木さんデビュー作の『フォーゲットミー、ノットブルー』では女子高生の希代子が主人公。
私立女子高校の入学式の日に出会った朱里は海外暮らし経験があり、父親が有名なカメラマン。自由奔放な朱里に憧れ、希代子は少しづつ近づいていき、親友と呼べるほどに仲良くなっていきます。
しかし朱里に対して違和感を感じていく希代子。
ちょっとしたきっかけで、その思いはどんどん大きくなり敵意に変わり、クラスメイトまで巻き込んでいきます。

他の3遍にも、時系列はバラバラですがこのクラスメイトたちが主人公になり登場します。

◎著者の柚木麻子さんについて

1981年東京都生まれ

2008年『フォーゲットミー、ノットブルー』でオール讀物新人賞を受賞。同作を含む初の単行本『終点のあの子』で2010年にデビュー。
2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞受賞、高校生直木賞受賞。

著書の『嘆きの美女』『ランチのアッコちゃん』はドラマ化されています。

『伊藤くん A to E』『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』『マジカルグランマ』で直木三十五賞候補になっています。

◎感想

思春期の女の子の純粋さと残酷さが、深く心に突き刺さります。
仲良くなりたいのに素直になれなかったり、言いすぎてしまったり、謝りたいのにどうしてよいかわからない。そんなモヤモヤした心の中が見えて苦しかったです。
自分も今思えば些細なことを気にしてばかりで、反対に「どうして?」と思うほどに残酷で、自分を中心にしか物事を考えられなかった、そんな時代でした。
今だって成長途中です。全く大人になれません。

希代子が朱里になれないように、朱里も希代子にはなれない。傷つく必要などどこにもなかったのに。

『フォーゲットミー、ノットブルー』より

都合がいいときだけ彼女に頼り、うっとうしくなると無視をした。
——— 
自分がされて嫌だったことを人にした——。

『甘夏』より

本当は、変わらなくていいと思う。そのままの彼女と人前で仲良くできないのは、恭子自身の問題だ。もっと堂々としていたい。どうして自分は彼女のようになれないのだろう。

『ふたりでいるのに無言で読書』より

こんなふうに後からいろいろなことに気付いても、そのままにしてしまうことのほうが多いと思います。
この物語の女の子たちの中でも、気が付いて行動できた子と、できなかった子、さまざまでしたが、どちらの気持ちもよくわかります。
何が正解なのかなんて、ずっとわからなくて、何をしてもずっと迷い続けるんだろうなと思いました。

◎まとめ

高校生から大学生くらいの女の子のお話ですが、同年代の方から大人まで、誰が読んでも共感できる部分がどこかある物語だと思います。
特に女性の方におすすめです。

created by Rinker
¥748 (2026/01/27 01:41:30時点 楽天市場調べ-詳細)

コメント

タイトルとURLをコピーしました