2022年新潮文庫の100冊の中から、初めて読む作家さんの作品を読みたいと思い、前から気になっていた町田そのこさんを選びました。
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
著者:町田そのこ /出版社:新潮社
◎著者の町田そのこさんについて
1980年生まれ。福岡県出身
2016年『カルメーンの青い魚』で、新潮社主催の第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。
2017年に受賞作を含むこちらの短編集『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビューされています。
◎作品紹介
どんな場所でも必死に泳いでいこうとする人々を描いた5つの連作短編集。
表題作で2作目の『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』では、中学生の啓太が主人公。
おとなしくてどんな声だか思い出すのも難しい女の子の同級生晴子は、どんないやな目にあっても、否定も肯定もせず無反応になります。そんな晴子を守っていたのは祖母の烈子さん。
しかし突然晴子は反撃に出ます。
その晴子の変化から目が離せない啓太。
二人が少しずつ近づき、会話をしながら成長していく姿が痛々しくもたくましいです。
解説にあるように、どの作品も冒頭の1文にインパクトがあり、物語に一気に引き込まれていきます。
◎心に残った言葉と感想
「難しいね。生きていくって、難しいよ。」
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』より
とても重い晴子の言葉。
けれどきっとたいていの人が心に思っていることでしょう。
簡単な事などひとつもなく、ひとつひとつしっかりと考えて行動していかなければ、と気を引き締める思いです。
人のアラを探しても何も得ることはなく、時間の無駄です。
「息が吐ける場所を探して生きてる。」
『溺れるスイミー』より
この登場人物たちは読んでいてこちらが息苦しくなってくるほどに、居場所を求め続けています。
ここが自分の本当の居場所なのか、それは誰にも分らないのではないでしょうか。
いつか少しでも息のできる場所が見つかりますように。
「苦しみ哀しみの行きつく、海の果てのようなところがあるのだろうか。ひとは悲しみを捨てることで、明日を生きていける生き物なのか。」
『海になる』より
短編集最後の作品は、読むのがつらくなる作品でした。
自分はなぜ生きているのか、生きる意味があるのかと悩む桜子。
悩み苦しんでいるのに、更に追い詰められていく姿に、なぜ逃げないのかと疑問に思う部分もありました。
『海になる』というタイトルは、最後になって納得の内容でした。
最近、連作短編集というものを知り、とても気に入っています。
あの子成長したんだ、とか、あの人こんな風に変わったんだ、とか、何だかほっとしたり、他にも探して読んでみたいです。
◎こんな人におすすめ
- 短編集が好きな人
- ちょっと疲れてしまった人
とても読みやすく、ページ数も336ページと多くないので、普段読書をしない女性の方におすすめです。
◎関連作品
町田そのこさんの代表作には2021年本屋大賞を受賞した『52ヘルツのクジラたち』、連作短編集に『ぎょらん』『うつくしが丘の不幸の家』があります。
私自身、町田そのこさんの作品は初めて読みましたが、ほかの作品も読んでみたいと思っています。
2021年本屋大賞入賞作品は好きな作品が多かったです。
既読は『犬がいた季節』『逆ソクラテス』『自転しながら公転する』『滅びの前のシャングリラ』、この4冊どれもおすすめです。
歴代の本屋大賞入賞作品も気になっている作品がたくさんあるので読んでいきたいです。


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