『天久鷹央の推理カルテ』知念実希人(著)統括診断部の行方は?【天久鷹央シリーズ】

日本文学

医療系の小説が読みたいと思いこちらの小説を選びました。以前読んだ『祈りのカルテ』が面白かったので期待しています。

『天久鷹央の推理カルテ』
著者: 知念実希人 /出版社:新潮社

【天久鷹央シリーズ】には推理カルテと事件カルテがあり、こちらは第1作目になります。

◎作品紹介

『泡』『人魂の原料』『不可視の胎児』『オーダーメイドの毒薬』の4章。1章ごとに完結しています。

天医会総合病院、統括診断部の部長天久鷹央は、場の空気が読めず、人付き合いが苦手で、光や音に敏感。すばらしい集中力と、多方面にわたる異常な好奇心。そして記憶能力・計算能力・知能には超人的なものがあります。統括診断部とは、鷹央のその能力を生かし、診断が困難な患者を科の垣根を越えて診るために設立されました。そこへ配属された小鳥遊優

鷹央は患者のみならず、日常の犯罪や超常現象まで、好奇心の赴くままに、謎を解き明かそうと行動を起こしていきます。それに巻き込まれる小鳥遊。

しかしどんな困難な問題も解決してきた鷹央にも難解な事件が起こります。病院の理事長の娘であり、副院長である鷹央をよく思わない人々からは常に失脚を狙われていて、この問題を解決しなければ「統括診断部」は廃止されてしまいます。鷹央は問題を解決できるのか…

◎著者の知念実希人さんについて

1978年沖縄県生まれ
日本内科学会認定医であり、診療活動をしながら執筆活動を続けているそうです。

2012年『誰がための刃 レゾンデートル』でデビュー。
代表作の『仮面病棟』が啓文堂文庫大賞を受賞。
『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi』『硝子の塔の殺人』で本屋大賞にノミネートされています。

◎感想

Karte.03『不可視の胎児』では、人工妊娠中絶手術を受けた高校生の美香が、「おなかに赤ちゃんが戻ってきた」と主張します。そして今度は絶対に産むという美香の思いに対する鷹央の言葉がストレートですが、とても核心をついていて説得力がありました。

「お前はまだ法律的には未成年かもしれないが、もう十分に判断力をもった一人の人間だ。自分で選択をして、その選択の責任をとれ」

Karte.03『不可視の胎児』より

子どもを産むという責任はとても大きくて、産んでからは全く予想のつかないことばかり起こります。

美香のおなかに戻ってきた赤ちゃんは残念な結果でしたが、医療の現場も予想のつかないことが多いのだと感じました。人それぞれ違う人間で、医療でも絶対これが正解というものはないのだと思います。

「お前が本当に医療過誤を起こしたかどうかは関係ない。問題は訴訟によってこの病院の評判が落ち、患者に不安を持たれることだ。そうすれば経営的にも大きなダメージになる」

Karte.04『オーダーメイドの毒薬』より

この訴訟に対しての院長である叔父の考え方ですが、人の命に係わる病院も一般の企業と同じで、経営が成り立たなくてはならず、正しいか間違っているかだけではやっていけないのでしょう。

反対に鷹央は医療過誤をしていないことを証明すれば解決できると考え、必死に行動します。

超人的な知能を持つ反面、人間関係の構築に大きな問題を持つ鷹央。鷹央にとってこの統括診断部は、自分の能力を社会に還元するためのシステムであると同時に、唯一の居場所でもあるのだろう。だからこそ、どんなことをしてでも守らなくてはならなかった。

エピローグより

部下である小鳥遊が、鷹央をこんな風に理解しているということに心があたたまりました。
シリーズ化されているそうなので、今後の鷹央と小鳥遊の活躍が楽しみです。

◎まとめ

医療系の物語が好きな方におすすめです。
1章ごとに完結しているので、隙間時間の読書にもおすすめです。

Kindle Unlimitedで読みました。(2022.9.29現在)

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