前作『天久鷹央の推理カルテ』がおもしろかったので、こちらの続編を選びました。鷹央と小鳥遊の活躍が楽しみです。
『天久鷹央の推理カルテⅡファントムの病棟』
著者: 知念実希人 /出版社:新潮社
【天久鷹央シリーズ】には推理カルテと事件カルテがあり、現在もシリーズが続いています。こちらはシリーズ2作目になります。
表紙のイラストは、いとうのいぢさんが描かれています。
◎作品紹介(簡単なあらすじ)
『甘い毒』『吸血鬼症候群』『天使の舞い降りる夜』の3章。1章ごとに完結しています。
天医会総合病院、統括診断部の部長天久鷹央は、場の空気が読めず、人付き合いが苦手で、光や音に敏感。すばらしい集中力と、多方面にわたる異常な好奇心。そして記憶能力・計算能力・知能には超人的なものがあります。統括診断部とは、鷹央のその能力を生かし、診断が困難な患者を科の垣根を越えて診るために設立されました。
鷹央は患者のみならず、日常の犯罪や超常現象まで、好奇心の赴くままに、謎を解き明かそうと行動を起こしていきます。それに巻き込まれる小鳥遊。
『甘い毒』では、毒を盛られたと言い張る患者。症状は似ているが毒は検出されず・・・
原因はわからず治療もできない。でも症状は出続ける。鷹央の診断は?
『吸血鬼症候群』では、現実に吸血鬼がいるのだと信じてしまいそうになる事件が起きて、調査を開始する鷹央たち。吸血鬼なのか、病気なのか、解決するのでしょうか。
『天使の舞い降りる夜』では、小児科病棟が舞台となっている物語。苦悩している鷹央がどう行動するのかが見どころになっています。
◎著者の知念実希人さんについて
1978年沖縄県生まれ
日本内科学会認定医であり、診療活動をしながら執筆活動を続けているそうです。
2012年『誰がための刃 レゾンデートル』でデビュー。
代表作の『仮面病棟』が啓文堂文庫大賞を受賞。
『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi』『硝子の塔の殺人』で本屋大賞にノミネートされています。
最新作は『機械仕掛けの太陽』(2022年10月発売)
◎感想
3章それぞれ完結していますが、連作短編集のようにつながっています。
今回は最初の物語から出てくる男の子がとても気になりました。

『甘い毒』では、甘いものをたくさん食べたり飲んだりするお父さんを心配する女の子が健気でした。聞いたことのない病気が出てきて、こわいと感じました。
『吸血鬼症候群』では、そんな病気があるなんて!!と、またおどろいてしまいました。
病院の内部事情がフィクションとは知りながらもリアルでした。どんな会社でもいろいろな問題があるでしょうが、命に係わる病院という場所が安全安心できる場所であることを願います。
最後の『天使の舞い降りる夜』は、鷹央が長い間悩んでいる姿が印象的でした。鷹央と同じ気持ちになってしまい、読むのがつらくなりました。
小児科病棟に入院中で、いたずらばかりする問題児と思われている子たちも病気があり、つらいことやストレスも多くあることでしょう。でも不器用なだけでとても心の優しい子たちだと分かり、うれしく思いました。
医師という仕事は常に患者の『死』と接していかなければならないのだ。
『天使の舞い降りる夜』より
知識があって診断ができても、全て治すことはできないのが現実ですがつらいですね。
つらい結末でしたが、とても好きなお話でもありました。
「医者は自分が無力であることを知らないといけないんだと思います。そうしてはじめて患者さんに真摯に向き合えるんじゃないですか」
『天使の舞い降りる夜』より
命に係わる仕事をしている人たちには尊敬と感謝の気持ちでいっぱいになります。
◎まとめ
医療系の物語が好きな方におすすめです。
約300ページ位の長さで読みやすいと思います。
シリーズで現在も続いているようなので、続けて読んでいきたいです。


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