『美しい距離』山崎ナオコーラ(著)永遠に動き続きていく関係

日本文学

初めての山崎ナオコーラさん作品。タイトルと表紙の綺麗さで選びました。

『美しい距離』
著者:山崎ナオコーラ /出版社:文藝春秋

第23回島清恋愛文学賞受賞
第155回芥川賞候補

◎作品紹介(簡単なあらすじ)

40歳代初めの若さで不治の病におかされてしまった妻を看病する夫が主人公。
夫は仕事をしていますが、職場へ相談し、時短勤務や在宅勤務をしながら、病院へ通っています。
病室を訪れる妻の両親、仕事仲間、医療従事者たちの様子が淡々と語られていきます。
少しずつ悪化していく病状にも、過ごしやすくなるように対応し、夫は一緒に日々を過ごしています。
死へ向かう妻には、今を生きている強さがあり、夫はそれを支え続けます。

〈初出〉「文學界」2016年3月号

◎著者の山崎ナオコーラさんについて

1978年福岡県生まれ。
2004年『人のセックスを笑うな』で、第41回文藝賞を受賞しデビュー。

『人のセックスを笑うな』『カツラ美容室別室』『手』『ニキの屈辱』『美しい距離』の5作品で芥川賞候補になっています。

目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」そうです。素敵ですね。
(著作著者紹介ページ参照)

最新作『ミライの源氏物語』が2023年2月に発売されています。

◎感想

自分が主人公や妻の立場だったら、と読みながらずっと考えてしまい、物語の中に入り込んでしまいました。
不治の病や突然の事故など、誰にも起こりうることでありながらも他人事のように考えてしまいます。何も自覚症状のない病気、健康診断受けても発見されない病気、人間の体は未知です。
毎日ただただ穏やかに、ゆっくりと過ごしていきたいだけなのに、それが出来なくなってしまう恐怖はどれほどなのでしょうか。

この夫婦の生きている時間の過ごし方、夫の側からの思いしかわからないけれども、たくさん悩みながらの毎日だったのだろうと思います。
看病の仕方の正解なんてわからないけれども、とても美しい時間の流れを感じました。

死の瞬間なんて重要視していない、それのために見舞いに来ているのではない、今のこの瞬間のために見舞っているのだ、と医者にもみんなにも声高に訴えたい。

『美しい距離』より

夫のこの思いが印象に残りました。自分も同じ立場になったときにもっと深く理解できるのでしょうか。

今、この瞬間、この時間を大事に過ごしていきたいです。

◎まとめ

人の死にまつわる物語です。医療、看病、病気について、家族、夫婦の関係などに興味のある方におすすめです。

ナオコーラさん初めて読みましたが、とてもよかったです。
うまく言えませんがとても好きな文章でした。
物語の流れが優しく自然でとても心地よい読書ができました。
これからも追いかけていきたい作家さんになりました。
デビュー作から読んでいきたいと思っています。

エッセイもあるそうなので、こちらも気になります。

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