『街に躍ねる』川上佐都(著)普通ってなんだろう。

日本文学

どこかで紹介されているのを見て、読んでみたいと思い、図書館で借りました。ポプラ社の小説とのことで、勝手に優しいお話を想像しています。

『街に躍ねる』
著者:川上佐都 /出版社:ポプラ社

第11回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞

同カバーイラストは漫画家の高松美咲さんの描きおろしです。

◎作品紹介(簡単なあらすじ)

小学五年生の晶と高校生の達の兄弟のお話。
弟の晶は、物知りで絵が上手く、いろんなことを教えてくれる兄の達をとても尊敬している。
達は他の人から見ると「普通じゃない」らしい。不登校で、コミュニケーションが苦手で、突然走り出したりする。
同級生の友達と兄についての話をするとき、自分の思いに戸惑いを感じる晶。
でもやっぱり大好きな兄への思いを大切に、成長していく。

◎著者の川上佐都さんについて

1993年神奈川県生まれ。

今作品で、第11回ポプラ社小説新人賞特別賞を受賞してデビュー。

◎感想

兄弟の物語が弟目線で進んでいくのでとても読みやすく、小学生ならではの悩みや優しさに考えさせられました。

同級生との会話から小学生ならではの残酷さも感じました。
決して人を傷つけようと思っているわけではないのだけど、人と少しでも違うところを見つけて差別をしてしまう、素直だからこそ行動や言動に現れてしまう、とても怖いです。傷ついたほうはずっと覚えているでしょう。
自分の小学生時代を思い出してみても、自分を守ることに必死で、周りに合わせ、他人への優しさを考える余裕などなかったように思います。

「自分が簡単にできることを、人もできると思っちゃだめだ」

『街に躍ねる』より

達のこの言葉、忘れてはいけないですね。口数が少なくても、弟にしっかりと大事なことを伝えることができる、素晴らしいお兄ちゃんです。

最後のお母さん目線の話は共感する部分も多く、感情移入して読みました。
親子でも他人でも、自分以外の人を完全に理解することはできないですが、理解しようとすること、理解できなくても受け入れることが大事だと感じました。
自分のことも理解できないですが・・・(テキパキ動けないこととか、締切ギリギリで慌てるところとか反省しても直らない)

この分からない息子の隣にずっといようと思った。

『街に躍ねる』より

お母さんのこの思いに同感です。家族を理解できなくてもずっと味方でいたいと改めて思いました。

家族のあり方、人の成長過程にひとつとして同じものはないのですね。

◎まとめ

家族小説、兄弟の物語が読みたい方におすすめです。
子育てに悩んでいる方、自分は人と違うかなと悩んでいる方に読んでほしいです。
中学生以上から楽しめると思います。

この作者さん、こちらの作品がデビュー作だそうなので、次回作が楽しみです。
ほかのポプラ社小説新人賞作品も気になります。

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