『博士の愛した数式』小川洋子(著)美しい数式があるということ【新潮文庫の100冊】

日本文学

何度も新潮文庫の100冊に選ばれているのに、ずっと積読していた1冊。タイトルからは内容の予想が全くつきませんでした。

博士の愛した数式
著者:小川洋子 /出版社:新潮社

第1回本屋大賞受賞
第55回読売文学賞受賞

◎作品紹介(簡単なあらすじ)

主人公の「私」は、家政婦として「博士」の家で働いています。
数学を愛する博士の記憶は、事故の後遺症により80分しか持ちません。
同じ挨拶から始まる毎日の中で、博士の数学への思いに寄り添う日々。
子どもへの優しさ、数字への愛情と情熱、表に出さない悲しみ、あたたかく美しい日々の記録です。

◎著者の小川洋子さんについて

1962年岡山県生まれ。
1988年『揚羽蝶が壊れるとき』で燕新人文学賞受賞。
1991年『妊娠カレンダー』で第104回芥川賞受賞。

そのほかにも多数の受賞作品があり、各賞の選考委員もされています。

日本の現役女性作家の中では、最も多くの作品が世界で翻訳されているそうです。
(ウィキペディアより2024.6.22)

◎感想

静かに心に染み込んでくるような物語でした。

主人公の「私」と息子「ルート」「博士」の3人の日々の会話から他者への優しさと思いやりが強く感じられました。
ルートに算数の宿題を教える様子は、子どもへの優しさと数学への愛情が合わさり、勉強嫌いな私自分でもこんな素敵な授業を受けてみたいと思うほどでした。

博士の毎朝の絶望を思うと苦しくなります。《僕の記憶は80分しかもたない》と書かれたメモを見ることで始まる生活は、とても想像できないほどの苦しみでしょう。
それでも自分の好きな数学のことを考え続けていられたことが救いのようにも思います。

どんな数字も美しいものへ変えてしまう博士の能力と、それを理解し共感できる私とルートの3人の関係があたたかく、こちらも優しい気持ちになれました。
とても大切な1冊になりそうです。

◎まとめ

優しいお話が好きな方、数学は苦手と思っている方におすすめの小説です。
中学生以上からどんな年代の方にも楽しめる1冊です。

ジュニア新書『世にも美しい数学入門』も続けて読みましたが、小川洋子さんのやわらかい頭で数学について語っているので、とてもわかりやすい本でした。

小川洋子さん、たくさんの作品があるのでこれからまだまだ楽しめそうです。

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