『何者』朝井リョウ(著)今の自分の姿のままで【新潮文庫の100冊】

日本文学

就職活動中の物語は以前『六人の嘘つきな大学生』(著者:浅倉秋成)を読んだのですが、『何者』はどのような内容なのか気になり選びました。2022年新潮文庫の100冊に入っていたのも読みたいと思ったきっかけです。

◎作品紹介

『何者』
著者: 朝井リョウ /出版社:新潮社

第148回直木三十五賞受賞。
新潮文庫の100冊に選ばれています。

2016年に映画化、2017年に舞台化されています。
この映画の監督の三浦大輔さんが、文庫版の解説を書いています。

主人公の拓人は、もうすぐ就職活動が始まります。
同じアパートの同居人の光太郎、元彼女の瑞月、瑞月の友達で拓人たちと同じアパートの住人の理香、理香の同棲相手の隆良。
この5人で就職活動の相談や対策をしようと、たびたび集まるようになります。
それぞれの発言や行動と、SNSでの裏の発言の矛盾、拓人はそれを冷静に観察し分析しています。
明るい幸太郎、素直でまじめな瑞月、出来ることは何でもやる理香、就職活動はくだらないと言いながら陰で就職活動をする隆良。
一人ずつ内定が決まっていく中、5人の中の空気も変わっていきます。

◎著者の朝井リョウさんについて

1989年生まれ。岐阜県出身。

2009年『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2013年『何者』で第148回直木三十五賞受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者で、男性受賞者としては最年少だったそうです。
2013年『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞受賞。
2021年『正欲』で第34回柴田錬三郎賞受賞。

大学在学中に作家としてデビュー。
卒業後は就職し、2015年までは会社員として働きながら作家活動をおこなっていたそうです。

◎感想

就職活動とは不思議なものです。
こういった新卒での就職活動の経験はないですが、履歴書での自己アピールや、面接でどんな発言をするか、決まったやり方やコツなど必勝法のようなものがあって、それを全てやってみる理香と、やり過ぎだと思っている拓人は、どちらが正しいとかはなくて難しいなと思いました。

希望の企業が決まっていても内定がもらえず、だんだんとどこでもよくなってきたり、何やってるんだかわからなくなったりして、自分のことは棚に上げて、人の上げ足取ったり変な方向に向かうこともあるでしょう。

想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。他の人間とは違う自分を、誰かに想像してほしくてたまらないのだ。

『何者』より

拓人は想像力があるかないかで人を区別しているけれど、想像力があるかどうかなんて他人には分からないのではと思いました。
あいつは想像力がないなんて思っているほうが想像力がないのではとも思います。

就職活動中はとても息苦しい期間ですね。
この期間にうまくいかなくても、この先何度でもやり直しはできることは知っていてほしいです。

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◎まとめ

大学生の就活のお話です。就職活動中の方は参考になるでしょうか。どうでしょうか。
就活抜きにしてもどんどんページをめくりたくなる物語なので、たくさんの年代の方に読んでいただきたいです。人間関係や、他人との駆け引きの難しさがわかります。
映画化されているそうなので、映画を見た方もぜひ原作を読んでみてください。

朝井リョウさんはエッセイも出版されていて、こちらもおもしろそうなので読んでみようと思っています。
『時をかけるゆとり』
『風と共にゆとりぬ』
『そして誰もゆとらなくなった』

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